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写真の天丼(お椀、御新香付)上2650円


「秘伝はなし。お客さんはこの油についてきてる」

 店に入った瞬間、ああこの店は濃いめのごま油で揚げているな、とすぐにわかる。なんとも甘い、香ばしい香りが漂ってくる。「天音」は昭和5年1930年)創業の老舗。だが、三代目主人のてえへんさんが「うちで食べるんなら、天丼しかないよ」というとおり、気どりはまったくない。日本橋蛎殼町という立地がら、景気が上り坂の時も下り坂の時も……同店の天丼は証券マン、金融マンの胃袋と舌を満足させてきた。ここで昼食に天丼をたいらげ、また激しい競争の世界にもどっていくのだ。 さて、同店の名物とも呼ばれる天丼。香り高い「金山竹純正胡麻油(業務用)で揚げている。しかも他の油とブレンドせず、この純正胡麻油一本である。ライト志向の世の中にあって、焙煎系のごま油のみで揚げる天ぷら店は実は少数派になりつつある。「もともと天丼がウリで、近くの証券会社とかに昼70食、80食を出前なんてザラでした。揚げて何時間後に食べるかわからないわけですから、初代の祖父が冷めてもおいしいままの天丼をと、このごま油だけで揚げることにしたそうです。ごま油だけで揚げた天ぷらは、冷める間際に一番甘みが増してうまくなるなんてことも、いってたそうです」
 天丼はごはんも多く、そのごはんが見えないほど天ぷらがのっているのに、昼に食べてもお腹にたまらない。むしろ軽やかだ。「濃いめのごま泊で揚げると、天ぷらに味や香りがつく。その分、丼つゆの砂糖は他の店に比べて半分にしています。だから甘ったるさがなくて、食べ疲れず、もたれないんだと思います」天音の丼つゆは、創業以来、天ぷらを揚げては浸してにじみでた、ごま油で甘味をつけているようなものだという。まろやかさが違う。かれこれ80年近くも繁盛しているのだから、浸した天ぷらの数の分だけ、おいしさが増している。だからこそ、「裏技なんてない。でも、うちよりおいしい天丼はない」とてえへんさんはいいきれるのだ。

ごま油の四季 2008冬の号より

てんおと 天音

東京都中央区日本橋蛎殼町1-13-2・03-3666-0639

東京メトロ日比谷線人形町駅徒歩3分 http://tenpura.info

一番人気の天丼(お椀、御新香付)は中1600円、上2650円、特上3500円。ほかにかき揚げ丼3050円〜、天麩羅御飯2300円、 お好み天ぷらなど。夜は宴会など予約が中心。

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